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Home >  在宅診療の教科書 >  「家で看取っていいんですよ」と言えるチームでありたい

「家で看取っていいんですよ」と言えるチームでありたい


在宅医療の現場では、医師や看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなど、多くの職種が関わります。

その中で聞かれるのが、「訪問診療の医師と訪問看護師は、どのように役割分担しているのですか?」という質問です。

私たちは、その答えを単なる業務分担ではなく、「患者様とご家族をどう支えるか」という視点で考えています。

「在宅入院」という考え方

当院では、状態が不安定になった患者様や終末期の患者様に対して、「在宅入院」という考え方を大切にしています。
正式な医療用語ではありませんが、入院と同じように集中的に関わり、毎日のように状態を確認しながら支えていくイメージです。

例えば、肺炎であれば1週間で改善を目指すため。
終末期であれば、ご本人だけでなくご家族の不安にも寄り添うため。

そのために、医師だけでなく看護師も頻回に訪問します。

本当に必要なのは「安心していい」という言葉

終末期になると、多くのご家族が同じ不安を抱えます。

「このままでいいのだろうか」「本当に家で看取って大丈夫なのだろうか」
医療的な判断以上に、その不安が大きくなっていきます。

だからこそ私たちは、
「家で看取って大丈夫ですよ」「今の経過は間違っていませんよ」
というメッセージを伝え続けることを大切にしています。

医師でも看護師でも、ケアマネジャーでも構いません。

誰かがその不安を受け止めることで、ご家族は安心して大切な時間を過ごすことができます。

訪問看護と訪問診療は「競合」ではない

時々、「訪問看護と訪問診療で役割が重なりませんか?」という声をいただきます。

しかし私たちは、役割が重なること自体は問題ではないと考えています。

大切なのは、誰が行くかではなく、患者様やご家族が安心できるかどうかです。

例えば、月・水・金はクリニック、火・木・土は訪問看護、というように役割を分けることもあります。
また、その時々の状態によって柔軟に連携することもあります。

重要なのは「どちらが担当か」ではなく、「チームとして支えられているか」です。

在宅医療は「情報をとりに行く医療」

病院ではカルテを開けば情報があります。しかし在宅医療では違います。

患者様の血圧はどうか。
最近食事は摂れているのか。
デイサービスではどんな様子だったのか。

その情報は、待っていても集まりません。

ケアマネジャーに電話する。
デイサービスに確認する。
訪問看護師と情報連携する。

在宅医療では、自ら情報をとりに行く姿勢が欠かせません。

多職種連携は「顔が見える関係」から始まる

近年はMCSなどのICTツールが普及し、情報共有は便利になりました。しかし、文字だけでは伝わらないこともあります。

本当に大切なケースほど、「ちょっと電話で話しましょう」「今度会った時に相談しましょう」という直接的なコミュニケーションが欠かせません。

私たちは、システムだけに頼るのではなく、顔の見える関係性を大切にしています。

良い看取りを支えるために

在宅医療に関わる私たちの目的は、単に医療を提供することではありません。
患者様がその人らしく人生を全うし、ご家族が「やれることはやった」と思える時間を支えることです。そのためには医師だけでは足りません。

看護師、ケアマネジャー、ヘルパー、デイサービス職員、そしてご家族。
それぞれが役割を持ちながら、一つのチームとして関わることが必要です。

私たちはこれからも、多職種が支え合う在宅医療を通して、「家で過ごしたい」という願いに寄り添い続けたいと思います。