グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



Home >  在宅診療の教科書 >  「最期をどう生きたいか」を、ちゃんと話せていますか?

「最期をどう生きたいか」を、ちゃんと話せていますか?


「もしもの時、どうしたいですか?」

この質問に、すぐ答えられる人は意外と多くありません。

しかし実際の医療現場では、突然その判断を迫られることがあります。

  • 急な入院
  • 認知症の進行
  • 肺炎や発熱
  • 食事が取れなくなる

そんな時、本人が意思を伝えられない状態になっていることも少なくありません。

だからこそ今、「元気なうちから残しておくこと」がとても大切になっています。

日本では「本人の希望」だけでは決まらない

「私は延命を望みません」
「できれば家で最期を迎えたい」

そう考えていても、実際にはその通りにならないことがあります。

なぜなら、日本では本人だけでなく、「周囲の意思」が大きく影響するからです。

実際の現場では、家族が「生きてほしい」と希望する・遠方の親族が反対する・急変時に短時間で判断を迫られる…

こうした状況の中で、本人の希望が埋もれてしまうことがあります。

「書いてある」だけでは守れないこともある

最近では、エンディングノートを書く方も増えています。もちろん、とても大切なことです。
ただ、現場では「ノートに書いてあった」だけでは十分ではないケースもあります。

例えば…
「母は自然に最期を迎えたいと言っていた」だけでは十分ではないケースもあります。

例えば…
「母は自然に最期を迎えたいと言っていた」と書かれていても、いざという時にご家族が「やっぱり助けてほしい」となれば、医療側はそちらを優先せざるを得ない場面もあります。

だからこそ大切なのは、周囲がその意思を理解していることです。

大切なのは「家族で共有しておくこと」

本人の希望を守るためには、家族・キーパーソン・関わる支援者…みんなが同じ方向を向いていることが重要です。

「うちのお母さんは、自然に家で過ごしたい人なんだ」
これを家族みんなが「当たり前に知っている状態」にしておくこと。

それが、本人の希望を支える力になります。

ACPは「元気なうち」に始めるもの

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、「人生の最終段階でどう過ごしたいか」を話し合う取り組みです。
ただ、「まだ元気だから早い」と思われることも少なくありません。

しかし実際には、状態が悪くなってからでは冷静に考えることが難しくなります。

現場では、
  • 食事量が少し減ってきた
  • 体力が落ちてきた
  • 生活の変化が出始めた

そんな小さなサインが、話し合いを始めるタイミングになることがあります。

「どう治療するか」だけではなく、「どこで過ごしたいか」

ACPというと、「延命治療をする・しない」の話だと思われがちです。ですが、それだけではありません。

  • 最期をどこで過ごしたいか
  • 誰と過ごしたいか
  • どんな時間を大切にしたいか

こうした「生き方」そのものを考えることでもあります。

特に在宅医療では、「家で過ごしたい」という希望がはっきりしていることで、医療・看護・介護のチームが同じ方向で支援しやすくなります。

訪問診療は「最期の医療」ではなく、「選べる医療」

以前は、病院が方針を決め、その流れに沿って進むことが一般的でした。
しかし今は、訪問診療や訪問看護など、在宅を支える仕組みが増えてきています。

つまり、「どこで、どう過ごしたいか」を選べる時代になってきています。

だからこそ、「自分はどうしたいのか」を考えておくことが、これからますます大切になります。

私たちが大切にしていること

訪問診療では、病気だけを診ているわけではありません。

その人が、どんな人生を歩んできたか?何を大切にしているか?どこで過ごしたいか?
そうした「人生そのもの」を大切にしています。

だからこそ、私たちは早い段階から、「もしもの時、どうしたいですか?」というお話を少しずつ伺っています。

答えが決まっていなくても構いません。

まずは「考えてみること」。そして、ご家族と話してみること。
それが、未来の自分を守る大切な一歩になるのかもしれません。